[主な登場人物]
由美子先生:
浩一くんを惑わす謎の女教師。
ポケットの中にいつもLSIゲームを忍ばせている。
浩一くん:
由美子先生の犠牲となる哀れな男子中学生。
家庭で日常的にエロに囲まれている、という特殊な環境で育った。
スターボー:
宇宙から来た三銃士。デビュー曲は「ハートブレイク太陽族」
だがこのお話にはまったく関係ない。
ねてるくん:
いつも寝ているハムちゃんずの一員。
前回までのあらすじ
『マリちゃん危機一髪』の衝撃のラストに傷心の浩一くん。
あのオチに勝てるのは奇面組の夢オチだけだった。
<<第2話 スカンクプイプイ!の巻>>
いつもどおりの放課後のクラブの部室。
「あーあ、ボクが卒業したらこのクラブはどうなっちゃうんだろう……」
それでも去年までは一応数人が所属していたクラブだったのですが、今年になって由美子先生が顧問になってからというもの、部員らしい部員は浩一くんしかいません。
その浩一くんも実は3年生だったりするので、来年以降のこのクラブの行く末を案じていた矢先……。
「宇宙にきらめくエメラルド〜 エメラルド〜♪」
おもむろに「ウルトラマンレオ」を歌いながら部室に乱入してくる由美子先生。
当然二回目の「エメラルド」の部分はファルセットで子どもコーラスを再現。
「…由美子先生」
「浩一くん知ってた? おおとりゲン役の真夏竜が『超GALS!寿蘭』に出てたって」
「知るわけないでしょ!!」
「しかも本来2クール予定だったのが2クール分放送延長されたんだけど、延長された2クール分はDVDになってないのよ? どうなってるのよ!?」
「そんなことボクにいわれても困ります!!」
相変わらずワケのわからないことで絡んでくる由美子先生ですが、どうやら今回もワケのわからないゲームを調達してきたようです。
「浩一くんは刑法って知ってる?」
「ええ、犯罪とその罰則について規定した法律のことですよね?」
辞書で調べたかのような浩一くんの模範解答に内心舌打ちする由美子先生は、おもむろに取り出したゲームを机に叩きつけました。
「今回はコレをやってもらいます!!」
「……『177』? 天気予報のゲームですか?」
「ちがーう!! 何のための前振りの質問だと思ってるの!?」
「ちょっとボケてみたかっただけです。これがあの『177』ですかぁ、へぇ〜…」
浩一くんは散々こういうゲームをやらされている上に、父=エロゲ会社社長、母=エロゲ声優という、エロゲ的にはこの上ない環境で育っているので当然『177』がどういう経緯で伝説になったのかまで知っていました。
「よくこんなの手に入れられましたねぇ……」
「とにかくプレイ開始よ!!」
……普通なら、どうして『177』が伝説になったのかの説明が入ってもよさそうなところですが、めんどくさいので割愛。というより、この文章読んでる時点で知らないのは不勉強すぎなので、自力で調べてください。
「主人公が大内秀雄で、襲われるギャルが斎藤琴絵って名前までついてるんですね…」
「ムダにリアルな設定がされてるところがイカスでしょ?」
なぜか由美子先生はやたら乗り気です。
「……しかし、モデルがいたらヤだなぁ」
浩一くんはそう思いましたが、実際ありそうなので口には出しませんでした。
「とにかくギャルを追いかければいいんですね?」
「とりあえずはそんな感じ」
画面上にマップ、下に横スクロールの画面が表示され、先行するギャルを男がひたすら追いかけるという図式になっています。
「……って、全然追いつけないですよコレ」
実はこのゲーム、ただ追いかけているだけでは絶対追いつけないです。
「って、ギャルがうちに帰っちゃいましたよ!」
「たまに出てくる標識をとって、進路を変えないとダメなのよ」
「……そういうことは先に教えてくださいよ!!
「自学自習がうちのクラブの基本よ!」
ぴしりと言い放つ由美子先生。
「……そんなこと聞いたことねぇよ…」
そう思う浩一くんでしたが、そんなことをいおうものならコブラツイストをかけられてしまうので黙って再プレイ開始です。
ひたすら斎藤さんを追いかけているうちに、浩一くんにもだんだんパターンがつかめてきました。
「そうか、後ろからやってくる動物をよけるときはなぜか後ろにジャンプするんだ」
『177』のACT1は、基本的に障害物が2パターンあって、前方に立ち塞がる動かないもの、と後ろからやってくるものがあります。
斎藤さんはそのどちらもジャンプでよけて進むのですが、動かない障害物を跳び越すときは前へ、そして後ろからくるものをよけるときは後ろへ跳ぶのです。
その後ろに跳ぶタイミングをみはらかって間合いを詰めるのが、このゲームの最大のポイントになります。
触ると即死な、動いている犬と亀、人魂、スカンクの放屁に関しては、それらでつまづかないように注意していればOKなので、慣れれば全然怖くありません。
というよりも爆弾を使って破壊してしまえば、それだけ死にづらくなるのでガンガン壊していきましょう。
「あ! やりましたよ!」
浩一くん、見事一枚目のブラウスを脱がせることに成功しました。
「まだまだこれからよ〜」
なぜかやる気マンマンな由美子先生。
パターンをつかんだ浩一くんは確実に数少ないチャンスをモノにして、斎藤さんをすっぽんぽんにしてしまいました。
「あと一回でクリアよ!浩一くん!!」
「……なんでそんなに興奮してんですか…」
画面に魅入られている由美子先生とは対照的に浩一くんは冷めています。
「ちなみにどこでクリアするかでACT2の体位が変わるから」
「た、体位〜!?」
思わずザッキ・ブロンコのマネをする浩一くんでしたが、キングゲイナーを見ていない由美子先生に対しては完全に不発。
「墓場でクリアするとバック、それ以外は正常位だから」
こうあっさりといい切られると逆に全然エロく感じないから不思議。
「浩一くんはどっちが好きなの?」
突然、由美子先生に耳元でささやかれ、熱湯に入れられたカニのように真っ赤になる浩一くん。
「し、知りませんよ、そんなこと!!」
アセった浩一くんはスカンクにつまづいて、その放屁をよけきれず死亡。
「まだまだだね」
某テニスの王子様みたいな発言をする由美子先生に挑発された浩一くんは、ものすごい勢いでACT1をクリアしました。
ちなみに墓地で。
「へー、浩一くんって見かけによらず動物的なセックスが好きなんだぁ…」
「せ、せっくすっていうのやめてくださいよ!!」
こういうふうに浩一くんウブな反応を見るのが由美子先生の最大の楽しみなワケですが、由美子先生が経験豊富かどうかは謎だったりします。
画面が変わって、バックでまぐわう大内秀雄(26歳)と斎藤琴絵(21歳)が大写しになりました。
完全に開き直った浩一くんは、コレをクリアすることに情念を燃やしはじめます。
「先生、左上の花のつぼみは何なんですか?」
「……それを先生にいわせたいの?」
…その不穏な雰囲気を敏感に感じ取った浩一くん。
「……いえ、なんとなくわかりましたからいいです」
「ここは円を描くように腰を動かすことがポイントよ」
「要するに同じ方向ばっかり押してちゃダメってことですね?」
「そのへんは実際のセックスといっしょよ」
「! だ、だからせっくすっていわないでくださいよ!」
途端顔が赤くなる浩一くんでしたが、指は必死にテンキーを押しています。
「ほら、だんだん蜜が垂れてきたでしょ…」
花のつぼみからあふれた蜜がじわじわとたまっていきます。
(このへんの感覚はオヤジくさいよなぁ……)
すでに小学生の頃、宇能鴻一郎とかを親に無理矢理読まされていた浩一くんはところどころ第二次性徴真っ盛りの男子中学生とは思えない反応をみせます。
「しかし、このヘコヘコ動く腰はどうにかならないんですか?」
「う〜ん、確かに冷静に他人のセックスみるとマヌケよねぇ」
「だからせっくすっていわないでください!!」
赤くなりながらも浩一くんはふと疑問に感じたことを聞いてみます。
「これ、失敗したらどうなるんですか?」
「当然強姦だから犯罪よ。強姦戦隊〜レイプマ〜ン♪」
「って、唐突にワケわからない歌うたうのやめてくださいよ!!」
「でもクリアできなかったら最初っからやり直しだからね。わかってると思うけど」
その言葉に、わざと失敗しようかと思っていた浩一くんは思いとどまります。
(とっととクリアしなければ!)
ヘコヘコ腰を動かしているうちに、どんどん蜜があふれて雫になって落ちそうです。
「うっ!」
と画面に表示が出たのと同時に雫がしたたり落ちました。
どうやら大内さん(26)は斎藤さん(21)をイカせることに成功したようです。
「やったー!!」
思わずガッツポーズが出る浩一くんでしたが、その後に表示された画面に唖然となります。
「……なんで花嫁姿なんですか?」
「レイプなのにイカされちゃったら結婚するしかないってことでしょ?」
「!! そ、そんなぁ……」
「オンナってそういうものなのよ」
「そ、そんなぁ……、うわ〜〜〜ん!!」
きっかけはレイプでも、相手をイカせれば和姦→結婚。
そんな夢も希望もない現実を前にショックを隠しきれない浩一くんは、また盗んだバイクで走り出しそうな勢いで泣きながら部室を出て行ってしまいました。
一方、由美子先生はというと……
「強姦戦隊〜レイプマ〜ン♪」
……どうやらこの替え歌が気に入ったようです。
(つづく)
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