[主な登場人物]
由美子先生:
ポケットにいつもLSIゲームが入っている謎の美人女性教師。
関係ないがお父さんは言うことがコロコロ変わるので信用できない。
浩一くん:
エロゲな星の下に生まれてしまった(不幸な)少年。
彼がゲームチャンプと呼ばれるようになるのはもっと後の話。
穂村兄:
プラズマ衝撃波を使う。
シャドウネームはレオン。
穂村妹:
趣味は拉致監禁。
シャドウネームはマナマナ。
アデット先生:
ねてるくん。
行動するときは大体モノをかっぱらいに行くとき。
前回までのあらすじ
由美子先生が調達してきた『マリちゃん危機一髪』テープ版に驚く浩一くん。
そのダイナミックプロな芸風に、ギャバンもドルギランでマクーの果てまでひとっとび。
<<第1話後半 おニャン子ザムービー!の巻>>
「今度は電気ですか…」
画面には巨大な乾電池と6つの電灯。そしてさるぐつわにロープで逮捕監禁状態のマリちゃんが。
「3回連続で勝てれば一発でクリアだけど、電灯が6つついたらマリちゃん死亡しちゃうわよ」
ゲーム1こそ偶然クリアしてしまいましたが、浩一くんが狙うのは当然電灯6つすべて点灯。
「ウヒッヒ〜ウヒッヒ〜ウヒッヒノヒ〜♪」
「『ザ・モンスター』で笑ってる!!」
浩一くんは暗黒面が増大すると変な歌を口ずさむ癖があるのですが、これを即『ザ・モンスター』と判別する由美子先生もダテではないようです。
普通なら『ザ・モンスター』の詳しい説明が入ってもいいところですが、こういうネタは書き捨てなので説明は一切なしです。 気 に す る な。
額に謎の紋章が浮き出た暗黒浩一くんはものすごい読みで怒涛の3連敗。乾電池のスイッチがすべてONになり、マリちゃん見事に感電死。
「ウヒッヒ〜ウヒッヒ〜ウヒヒノヒ〜♪」
(……い、一発で殺した!)
勝ち誇る浩一くんに唖然とする由美子先生でしたが、こういうときの対処はすでに心得ています。
無言で浩一くんの手を自分の胸に押し当てる由美子先生。
「うわぁああ!」
びっくりした浩一くんは見事に元に戻りました。
「あ、マリちゃん死んでますね……」
正気に戻った浩一くんが見つめる画面に映し出されていたのは黒いリボンをかけられたマリちゃんの遺影と香立にささった一本の線香でした。
「かなりしょっぱい死に方よねぇ……」
「ジャンプ天国かよ」
読者の方ならそうツッコむところでしょうが、浩一くんはカケフ君のことなど知る由もありません。
「遺影の位置が元絵の顔の部分といっしょですね。工夫してるなぁ」
妙なところに感心する浩一くんでしたが、由美子先生は無言で「Y」キーを押しました。
「はいやりなおしー」
「ええ〜!」
「クリアするまで帰れるとは思ってないでしょ!?」
そうでした。由美子先生は一度プレイをはじめたゲームをクリアしないと解放してくれないのです。
唯一の例外が「王子ビンビン物語」で、その時はさすがの由美子先生も読み込みの遅さにブチ切れてその場でフロッピーディスクをカッターでズタズタに切り裂いていましたが。
とりあえず一度死亡画面を見たことで安心したのか、浩一くんはゲーム2をリトライします。しかし今度は持ち前の読みの鋭さを発揮してあっさりクリアしてしまいました。
「由美子先生?」
「何?」
「って、何で先生も脱いでるんですか?」
「熱いから」
「外、雪降ってますって!!」
窓の外を指差す浩一くんでしたが、由美子先生はもうブラウスを脱いで、上半身は下着姿。
必死になって顔を隠そうとする浩一くんを見て、さらに挑発したくなった由美子先生は、モニタの横に立ちます。
「マリちゃんと私、どっちが魅力的だと思う?」
「先生です、先生!!」
「ほんとに?」
「ほんとにほんと! だから早く服着てくださいよ!!」
「しかたないわねぇ…」
しぶしぶ脱いだブラウスをまとう由美子先生を尻目に浩一くんはものすごい勢いで続きをプレイしはじめました。
…この状況から逃れるためには一刻も早くクリアするしかない!!
そう決心した浩一くんは再びチャクラ全開でゲーム2をクリア。返す刀で爆弾が爆発する前に導火線の火を消すゲーム3、そして水責めからマリちゃんを救うゲーム4をもクリアしてしまいました。
しかし今度はマリちゃんがパンツ一枚の状態に。
「浩一くん、とうとう最後の一枚ね!」
「って、なんで先生も裸なんですか!!!!」
「読者サービスよん」
「マリちゃんにはりあわなくても先生のほうが綺麗ですから! とにかく服着てください服!!」
「さ、最後いってみよう〜」
結局由美子先生は服を着る気がないみたいなので、浩一くんはとっととゲームをクリアして逃げる算段をはじめます
最後に残ったゲーム5はマリちゃんとの直接対決。ここでようやく普通の野球拳になりました。
「最後の一枚だからある意味危機一髪ではあるのか…」
などと男子中学生らしからぬ冷静な思案をめぐらせる浩一くんでしたが、由美子先生の「頭の上に乳乗せ攻撃」にあっさり陥落します。
「う、うわ!な、何するんですか!」
動揺した浩一くん、あっさりマリちゃんに敗退。
「はいまたやりなおし〜」
「ひ、ひどいですよ由美子先生!」
「続き続き〜」
浩一くんは仕方なく続けますが、頭の上の胸が気になって集中できず、なかなか勝つことができません。
「よし!!」
ようやくマリちゃんとの直接対決に勝利できたのは5度目のリトライの後でした。
そして、ついに最後の一枚が……!
「って、なんじゃあこりゃあ!!!」
あまりの憤りに突然立ち上がる浩一くん。
最後に表示された画面は、なんと肝心な部分が「プログラムエラーで表示されない」という、いくらなんでもひどすぎるオチ。
「……こ、こんな演出許されてたまるかぁ!!」
半泣きの浩一くんは盗んだバイクで走り出しそうな勢いで部室を逃げ出してしまいました。
一方、由美子先生はというと、浩一くんが突然立ち上がった勢いで後ろに跳ね飛ばされ、後頭部を強打し失神していました。
……裸のままで。
(つづく)
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