With You 〜みつめていたい〜

タイトル画面

周知の通り、サターンの末期に発売された人気PCゲーム(PC版は18禁)の移植作。
ゲームとしてはオーソドックスな選択肢でシナリオが分岐するタイプのアドベンチャーです。

☆ストーリー

ストーリーはこんな感じです。
(以下、マニュアル引用)

3人の幼なじみを結ぶ「絆」の物語……

6年前に何も言わずにいなくなってしまった幼なじみの『真奈美』。
別れ際に伝えられなかった彼女への想いが思い出に変わろうとしていた頃、当時の面影を残したまま彼女が帰ってくる。
もうひとりの幼なじみとともに再会を喜び、思い出話に花を咲かせながらも、子供の頃の彼女に対する気持ちが初恋だったことに改めて気づく。
それは同時に、いつもそばにいて自分を見守ってくれたもうひとりの幼なじみ『菜織』の存在に気づくことでもあった……

3人の幼なじみをつなぐ『絆』が今、それぞれの想いによって『愛』に変わろうとしている……


(以上、引用終わり)

ということで、主人公を中心とした幼なじみの微妙な三角関係を基調に、明るく楽しい(?)高校生活の一コマを描いた、爽快ラブコメです(笑)

☆「全年齢」ってヘンな単語だよな…

ただし、18禁だったPC版から、全年齢対象として移植されたため、そういうシーン(といっても最後に「ご褒美」としてある程度でしたが)はまったくなくなっています。

それどころか、パンツが見えるシーンはすべて削られているのです!
(原画も差し替え)

菜織のパンツや真奈美のパンツ、あまつさえミャーコちゃんパンツやサエパンツすら拝めません(涙)

エロゲなら当然パンツ見え構図(笑) 逆にエロっぽく見えるカット

ゆえにホントに「全年齢」対象になっています。
喜んでいいのか悲しんでいいのかわかりませんが、ま、よいゲームに小さいうちから触れておくことは悪いことではないと思うんで、喜んでおきましょう。

とはいえ、最後のHシーンがカットされた分、追加されたシナリオがあり、それがまた妙味なので差し引きゼロ、というよりプラスでしょう。中途半端なHシーンでお茶を濁されるよりは、ゲームとしての完成度を高めてくれた方が、一ユーザとしてはうれしいです。

☆ダブルヒロイン

ストーリーは上記のように、追いつけなかった彼女に追いつくために走りはじめた主人公と、それを陰で支える幼なじみの菜織の微妙な関係が、ミャンマーから突然帰国した真奈美によって変わっていく、というありがちな「幼なじみの三角関係」だったりします。

基本的に二人のヒロイン「真奈美」と「菜織」をベースにしたシナリオがあり、プレイ中に出てくる選択肢のどれを選ぶかで、どちらのシナリオに流れるかが決まる、というシステムになっています。

唐突にキャラ紹介(笑)

氷川 菜織
(ひかわ・なおり)


世話焼き☆ギャル
鳴瀬 真奈美
(なるせ・まなみ)


帰ってきた眼鏡☆ギャル
乃絵美
(のえみ)


最強の妹☆ギャル
信楽 美亜子
(しがらき・みあこ)


エビフライ☆ギャル
田中冴子
(たなか・さえこ)


スポーツ☆ギャル
天都 みちる
(あまみや・みちる)


女教師☆ギャル


ゆえに、一度のプレイではどちらかのヒロインのエンディングにしかたどり着けないようになっているのですが、片方のヒロインのエンディングを見ただけではこのゲームをやり終えたとはいえないのです。

なぜなら、「真奈美」と「菜織」のシナリオは「非日常」と「日常」の対比関係にあり、その2つのシナリオによって1つの作品として完結しているからです。

わかりやすく言い換えると「真奈美シナリオ」=「北斗」、「菜織シナリオ」=「南斗」という表裏一体を為しているので、「南斗」なしに「北斗」を語ることはできないのです(笑)
(ちなみに乃絵美は「元斗」

元斗皇拳大特集(笑)

おんぶ ピアノ シャツ
おんぶ…ハァハァ(笑) ピアノ…ハァハァ(笑) Yシャツ…ハァハァ(笑)


よく「WithYou」の批評で「菜織のシナリオはいいが、真奈美のシナリオは…」というのを見ますが、それは物事の一義的にしか捉えていないせいでしょう。

「菜織」のシナリオが「日常」を描く以上、それに対比されるべき「真奈美」のシナリオでは「非日常」を描く必然があるのです。

それが端的に現れているのが「ミャンマーからの転校生」という真奈美の設定でしょう。
(ミャンマーという具体名ではなく「東南アジアの仮想国」であった方がよかった気がしますが…)

まず、主人公と菜織の「日常」が、真奈美という「非日常」を受け入れることで変質を余儀なくされる、というのが菜織シナリオのベースになっています。

反面、真奈美シナリオでは、真奈美が持ってきたペンダントをめぐって、事件やら分身やら「非日常」てんこ盛りのサスペンスファンタジー(造語)になっているのです。

この2つのシナリオがまとまって一つの作品として成り立っている、とみるならばこれくらいはっきりと色分けがなされていたほうがよいと思うのは私だけなのでしょうか?

当然、真奈美のシナリオは「突拍子がない」とか、「ワケがわからない」という指摘はしかるべきだとは思います。(実際そうなので)

しかし、菜織シナリオとの対比という意味で意図的になされたものと考えるならば、また別の見方ができると思うのですが、いかがなものでしょう?

とにかく「好きだったけどいなくなっちゃった眼鏡のマブギャル」と「口うるさいけど心から自分のことを心配してくれている巫女さん」を両天秤にかけられるというだけでもウハウハな設定だと思います。

さらに「最強の妹」の呼び声高い(笑)「乃絵美」が出てくるのです!
(個人的にはみちる先生も捨てがたい)
…それだけで黙って「買い」ではないでしょうか?

細かいことをいえば、キャラの立ち絵のパターンが限られているので、巫女さん姿の菜織が常にほうき持ってる(学校に肝試しに来るときもほうき持ってる!)とか、おかしな部分もなくはないですが些細なことなので気にしないようにしましょう。

☆まとめ

橋本タカシ氏の描く魅力的なキャラだけでも十分ですが、それを補ってあまりある「甘酸っぱい青春」ストーリーは、そういうのが好きな人間にはたまらないと思います。

いわゆる典型的な「ヌルラブコメ」です(笑)
(PC版は違う意味で一部ヌルヌルしてましたが…)

「水色時代」がいまだに好きな私は転ばずにはいられませんでした。

現在ではPC版のおまけディスクである「うぃずゆ〜TOYBOX」も盛り込んだPS版「絆という名のペンダント」が発売されているので、、いまやその手のマニアしか手の出なさそうなタイトルになっています。

しかし、敢えてサターンでやることに意義を見出しましょう。それでこそオトコです(笑)

狂おしく死ね!(ヴァイス)

(文責:オグさん)

(「習慣!ゲーム微妙 00/8/26号」掲載分より加筆修正)

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