天城紫苑

松本コンチータと冴島奈緒という二枚看板を使いながらも「18推」を全く活かしきれていない激萎えタイトル「天城紫苑(あまぎしえん)」です

☆タイトル読めねぇよ…

この作品の売りはなんといっても「松本コンチータ&冴島奈緒」でしょう。

元AVを二人も使う豪快なキャスティングに当然目がいくわけです、男なら(FEEL)

しかし、はっきりいってそれが目的でこのゲームを買うと、あまりの肩すかしっぷりに土俵から転げ落ちて審判長の九重親方に激突するのは確実です。

ゆえに、そういう意味での期待はやめましょう(笑)

最後までプレイすることが出来ればわかると思いますが「ソレ」を匂わすシーンはありますが、そういう描写は全くありません

あえて書かなかったのか、それとも書けなかったのかどうかはわかりませんが、濡れ場もB地区もありません

強いてあげるならコンチータの胸の谷間くらいです。

エロさについてはその程度です。
でも、この内容はある意味「18推」ともいえなくもなかったりするところが妙だともいえます。

☆金田一二三

プレイヤーは、有名な女作家探偵「金田一 二三(きんだいち・ふみ)」の元へ助手としてやってきた青年、というとてもありがちな設定になっています。

コンチータ演ずる「金田一二三」は思わず「かねだいちにさん」と読みたくなりますが、金田一先生なので間違えないようにしましょう。

彼女、若干17歳にして推理小説を書き入選。しかも、探偵としての才能も持ちあわせ数々の事件を解決しているというスゴイ設定になっています。

コンチータが主役ってだけでもビックリなのに、加えてこの設定です。
おなかいっぱいです。

しかし、名探偵なはずのコンチータは実際のゲームではほとんど活躍しません
というよりオイシイとこだけ持っていく役です。

ストーリーは、その金田一とプレイヤーが箱根の旅館「天城館」の新装記念のパーティに呼ばれて出かけてみたら、さあ大変。

宴会の席で、旅館の先代の経営者の息子が泡吹いて倒れました!

やっぱり殺人事件が起こってしまいましたね。
お約束です。

さあ、この難事件をコンチータはどう解決するのか?
と、いいたいのですが、コンチータ自体は何もしやがりません。

助手であるプレイヤーが、何故かポリゴン表示される旅館内を移動して聞き込みしなければなりません。

助手といえば聞こえがいいですが、これじゃ単なる「パシリ」です。

捜査とポリゴン移動といえば、不朽の名作「ワンチャイコネクション」がすぐ連想されますが、「ワンチャイ」ほど面倒なポリゴン移動ではないので安心です。

基本的には、移動できるところにすべて移動し、コンチータの待つ部屋に戻れば、勝手に話が進んでいくというお手軽なシナリオになっています。

面倒なコマンド選択や謎解きといった物とは全く無縁です。
こんなにお手軽でいいんでしょうか?

☆思った通りの展開

とにかく、山奥にある旅館は嵐によって橋が落ちたせいで「陸の孤島」と化します。

ミステリではよくある手法です。

他との往来ができなくなることで、その場に居合わせた人間の中に必ず犯人がいる、ということになるのです。

ミステリの基本的な「お約束」として、「登場したキャラクターの中に必ず犯人がいる」というのがあるためです。

そのための「橋が落ちた」という演出なのですが、かなり空振り気味です。

その上、殺人によって一番利益を得る者が最大の容疑者として挙げられるが、実は…、という展開になるのがごく一般的なミステリの手法なのです。

しかし、この話ではその方法は全く取られてません。

むしろ、あえてその方法を逆手に取ろうとしているようにも思えます。

……でも、失敗してるでしょ、コレは。

大体、ミステリ小説を映画化した場合、往々にして観る前から犯人がわかってしまうことがあります。

それは何故か?

簡単です。配役のせいです。

探偵が主役だとしたら、ライバルにあたる犯人役は主役に準じる、もしくは上回るクラス役者でないと務まらないからです。

ということで、この話もキャストを見ただけで、既に犯人はわかりきっているのです。

誰にでも簡単にわかるようなことですが、こういうのはネタバレになるんでしょうか?(笑)

念のため誰が犯人かはっきりとは書きませんが、予想通りの展開で、推理もへったくれもありません。

どんなに怪しい宗教屋やエロ医者が出てこようと、所詮無名の俳優(失礼)が演じている以上、チョイ役でしかないのですから…。

☆羅門祐人

このシナリオを書いたのは羅門祐人氏。

知名度ではまだ「ワンチャイ」のジェームズ三木に負けますね(笑)

最近、結構この名前の入った小説を見かけますが、私は実際に読んだことがないので、どんなモノを書く人かどうかは知りません。

ただ、「天城紫苑」のシナリオに関しては、「なんだかなぁ…(河合奈津美)」といった感想しか持てませんでした。

この人、ゲーム会社の社長をする傍ら執筆活動をなさっていたようです。

その「ゲーム会社」が作ったゲームってのが、どうやら、この「天城紫苑」らしいのです…。

しかし、実際プレイしてみればわかりますが、本当に「なんだかなぁ…」というデキです。

エロは肩透かし、謎解きはほとんどない一本道アドベンチャー(というかアドベンチャーと呼んでいいのかすら疑問)です。

そういう意味では「18歳以上でないと我慢できない」かもしれないのです。

このゲームが「18推」なのは、まさにそのためだったのではないでしょうか?
私はそう思います。

途中、自閉症気味の巫女さんが、唐突にキスを求めてくるのも「なんだかなぁ…」(笑)

(了)

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